3186ネクステージ

ネクステージの企業・株価分析①~ネクステージの業績拡大は来期も続くのか?~

今回は証券コード3186ネクステージの具体的な企業分析をしていきます。

 

今回の記事は中古車小売り業界の現状を知った上でご覧いただくと、より理解が深まりやすい内容になっています。

中古車業界の現状に関する記事は下記をどうぞ↓

中古車小売り業界の現状分析~中古車小売り関連銘柄は買いと言えるか?~今回扱うのは中古車小売り業界の分析になります。 上場している主な大手中古車小売り関連株としては、7599 IDOM(ガリバ...

 

ネクステージは国内消費者向けの中古車小売りを主要業務にしている会社です。

 

業界分析の記事では、国内中古車市場の規模が頭打ちになっているにも関わらず中古車小売り大手の業績が拡大している理由を述べました。

今回の記事では、ネクステージ個社に焦点を絞って業績や株価の分析を行います。

急拡大中のネクステージの売上は今後も伸びるのか?

まずはネクステージの売上高の推移を下記グラフで確認してみます。

2019年11月期(FY19)の会社予想を含めて、一貫して売上が拡大していることが分かります。

業界分析の記事を読んで頂いた方であれば、大手寡占化の進行によって売上が伸びていることが分かると思います。

 

ただし大手寡占化はあくまでも売上拡大を可能とする外部環境に過ぎません。(売上拡大の間接的な理由)

ネクステージの売上拡大の直接的な理由は店舗数の増加です。

 

店舗数を拡大している、言い換えると店舗数を拡大できる外部環境の追い風があるからこそネクステージの売上が伸びているのです。

ネクステージの店舗は3種類に分類して分析する必要がある

ネクステージのIR資料を見ると、今期の出店計画が掲載されています。

この出店計画について、店舗種類の特性から3つに分けてみます。

 

①基幹ビジネスモデル(中古車の小売り)

1つ目は、中古車の小売りを行うネクステージの基幹ビジネスモデルになります。

中型店、総合店(大型店)、車種特化店(SUV、輸入車)という内訳がありますが、全て中古車を販売する店舗になります。

これらの店舗がネクステージの売上や利益を作る根幹となります。

 

年間の純増が8店舗程度、中型店を潰して総合店へのシフトという傾向が見られます。

 

②新車ディーラー

実は、ネクステージは中古車小売り以外に新車ディーラーをOEM(正規代理店)で一部展開しています。

IRに聞いたところ、新車ディーラーのビジネスモデルはチャレンジでもあり、まだ利益貢献させるフェーズではないとのことです。

 

分析上の話ですが、新車ディーラーの店舗数拡大は業績・株価分析のポジティブ要因からは外します。

 

③買取専門店

これは消費者から車を買い取る業務に特化したセクターです。

買取(仕入れ)ですから、当然のことながら売上への直接貢献はありません。

 

今期15店舗も増加ということで力を入れていることが分かります。

買取専門店については後の章で再度触れたいと思います。

 

余談ですが、今期増加15店舗全てが新規独立の買取専門店ではありません。

既存の小売店に買取専門機能を併設したものも店舗数増加に含めているとのこと。

 

総合店(大型店)の出店攻勢が成長の源泉

前の節で述べた通り、新車ディーラーと買取専門店は直接業績に寄与しないと考えられるので一旦無視します。

従って、ここ数年のネクステージの基幹ビジネスモデル(中古車小売り)の店舗数推移を確認してみましょう。

まず目に付く特徴としては、グラフの赤色の部分(総合店)の店舗数が急激に伸びていることです。

一方で、中型店の数は減少傾向にあります。

業界分析の記事でも述べた通り、入りやすさ、在庫数、サービスなどの点で総合店は中小事業者に比べて優位性があると考えられます。

スクラップ&ビルドによる総合店の出店攻勢こそがネクステージの直近業績拡大を支えていると言えるでしょう。

特に今期(FY19)については、総店舗数も大きく増加しています。

 

来期(FY20)も店舗数を増やせるかが株価のポイント

株価の今後を占う上で重要なのは、今の業績より今後の業績です。

順調に総合店の店舗数及び売上を拡大しているネクステージですが、来期(2020年11月期)についても成長が継続するでしょうか?

 

ズバリIR担当に問い合わせを行ったところ、基本的には来期も8~10店舗程度の小売店増加を目指していく予定とのことです。(今期は8店舗増加予定)

 

しかし、管理人はIR担当が言うことを鵜呑みすることは危険だと思っています。

従って、本当に来期も今の出店ペースを維持・拡大できるのか詳細にディスカッションさせてもらいました。

 

市場環境としては前の記事で書いた通り、大手寡占化が進みやすい状況が続いているので出店余地は十分だと思います。

しかし、出店ペースを保つためには市場環境以外にネクステージ個別の要素として4つのポイントが必要です。

 ①お金

 ②人

 ③不動産

 ④十分な仕入れ

①お金

新規出店をするためには多くの資金が必要です。

この点については問題ないと言えるでしょう。

何故ならば、今期の途中で増資を行っているからです。(調達予定金額は100億円規模)

 

ネクステージは総合店の出店攻勢に伴って銀行からの借り入れを多くしています。

結果として、一時自己資本比率が30%を切るまでに負債が増えていました。

それでもまだ借り入れは可能とのことですが、財務状態を回復させるために増資で資金を調達したということです。

増資の資金は全額新規出店関係の費用に使うと書かれているので、非常に前向きな良い増資と言えるでしょう。

②人

新規出店を加速させると、当然のことながら人員の確保が必要になってきます。

これについては、主に新卒大量採用などで対応しているとのことです。

 

従業員が2000人規模の会社ですが、リクナビを見ると新卒だけで年間300人以上を採用しているようです。

業務の拡大に合わせた人員の採用を確保出来ているとのことでした。

 

課題を挙げるとしたら、人員の早急な育成です。

これは研修センターを使って教育に力を入れているとのこと。

 

少なくとも、出店加速にあたって数の面においては人員に問題はないでしょう。

③不動産

お金、人が十分であっても、総合店を出店する用地が手に入らなければ出店できません。

不動産取得難易度の状況についてもネクステージに問い合わせを行なっています。

 

回答としては、地域によってバラツキはあるが全体として不動産取得が新規出店ペースを阻害する心配は今のところしていないとのことです。

理由は、同業の中古車店や大型家電量販店などの撤退も散見されており、まとまった土地が手に入るケースが増えているからだそうです。

 

不動産についても、過度な心配は不要でしょう。

④十分な仕入れ

最後は仕入れです。

箱として総合店をたくさん作っても、肝心の良質な中古車が手に入らなければ全く意味がありません。

 

これは主に買取専門店の増加によって対応しています。

下記グラフはここ数年の買取専門店の数を示しています。


このように、総合店の出店攻勢に伴って買取専門店の数も急激に増やしていることが分かります。

仕入れはオークションからも行っていますので、仕入れで困る状況にはないとのことでした。

・ネクステージは主に総合店の出店攻勢によって売上を拡大している

・来期も今期の出店ペースを維持・拡大させていく方針である

・来期の出店ペース維持を担保する4つの要素(お金、人、不動産、仕入れ)に大きな問題点は見られない

・来期も今期と同等かそれ以上の売上拡大が続く可能性が高いと思われる(管理人私見)

ネクステージの営業利益に関する考察

ここまでネクステージの売上に関する分析を行ってきました。

株価には売上だけでなく利益の面も大きく影響しますので、この章では営業利益について分析したいと思います。

ネクステージの営業利益は順調に拡大中

下記グラフは直近のネクステージの営業利益と営業利益率の推移を示したグラフになります。


売上の拡大に伴って営業利益の方も順調に伸びていることが分かります。

営業利益率の方は3%弱程度で安定推移しています。

 

前の章の仮説通り、来期(FY20)も売上が拡大するとしましょう。

それに加えて営業利益率が落ちなければ来期の利益も大きく増加することが見込めます。

 

でも、来期も営業利益率が落ちないとは限りませんよね?

念のため営業利益の健康診断をしてみましょう。

来期に営業利益率が大きく落ちる可能性は低い

会計の基本として、営業利益は以下の公式で計算できます。

 

営業利益 = 売上 - 原価※1 - 販管費※2

※1:売上を生み出す商品を作り出すために掛かった費用
(ネクステージの場合は、中古車の仕入れ、輸送、整備などに掛かった費用及びそれに関わる人件費など)

※2:商品を売るために掛かった費用及び企業活動が存続するために必要なコスト
(ネクステージの場合は、営業マンの人件費、広告費、店舗運営費、本社家賃、経理・人事などの一般人件費など)

 

では、営業利益率に関係する原価率と販管費率の推移を四半期ベースで確認してみます。

原価率が下がり続けている理由

まずは原価率の推移を確認します。


グラフが示す通り、一貫して原価率が低減傾向になっています。

中古車をお買い得に仕入れることが出来るようになってきているということですね。

これは何故か?

 

ネクステージが中古車を仕入れる際には主に2つの経路が使われます。


ネクステージの仕入れ経路として、①自社買取②オークション経由の仕入れがあります。

当然のことながら、自社買取の方がオークション仕入れに比べて中間マージンが不要なためコストが安くなります。(輸送費なども減らせると聞いています)

 

前の章で載せた通り、ネクステージは買取専門店の数を急速に増やしています。

買取専門店の大量出店こそが原価率低減の源泉であり、他の中小事業者が規模的に真似できないポイントです。

 

今期においても買取専門店の強化が進んでいますので、来期についても原価率の低減が見込めると言えるでしょう。(SUVなど、利益率の高い車種特化専門店の出店も効くでしょう)

販管費率は高止まりの傾向

次に販管費の推移を確認します。

 原価とは違って販管費率の方はやや上昇傾向にあります。

これは営業利益率にマイナスに働きます。

 

販管費率が増えている理由を会社に問い合わせたところ、人件費の影響が大きいとのことです。

前述したようにここ最近の大量出店に伴って人を大量に採用しています。

採用した人がすぐに十分な戦力になるわけではなく、しばらくは採用費や教育費用が先行します。

 

また、ネクステージは小売販売のみからトータルカーライフサポートを行うという方向に転換を進めています。

車の販売だけでなく、車検、メンテナンス、損害保険といった周辺領域までお客様との付き合いを増やして稼ぐというビジネスモデルです。

そのために、保険を扱うことができる特別な人員の採用も進める必要があるとのこと。

 

以上にように、販管費率は上昇傾向にあるものの事業拡大に伴った前向きな先行投資としての意味合いが強いと言えます。

・買取専門店の強化によって原価率が低減傾向(原価率は下がる程良い)

・販管費率は上昇傾向だが、事業拡大とビジネスモデル転換に伴った前向きな人件費負担増が中心

・ここ最近の営業利益率は横ばいながら非常に質が良い内容である

・来期においても原価率低減と販管費増が相殺して、営業利益率は概ね横ばいからやや改善になると予想

ネクステージのリスク要因

ネクステージのリスク要因についても考察しておきます。

 

【短期的なリスク】

目立った具体的なリスクは見当たりません。

仮に、違法な販売を行うといった何らかの不祥事が起こった場合は苦しくなる可能性があります。

直近で増資をしたとはいえ、借入金が多くキャッシュフローもマイナスになっています。(積極的な仕入れ、店舗新設の影響)

今の資金回転が続けば全く問題ありませんが、不祥事に等によって車が販売できないような事態になると資金繰りが厳しくなると思います。

 

【超長期的なリスク】

中古車業に限った話ではありませんが、車業界自体の大変革が起きる可能性が高いです。

車は自動運転になるでしょうし、もしかすると車は保有せずにシェアすることが常識の世の中になるかもしれません。

そのような時代が来た時に、ネクステージが変化に対応する努力を怠れば業務が縮小してしまう可能性があるでしょう。

ただし、そこまで大きくカーライフが変わるとしたら短く見ても10年以上先の話になると思います。

ネクステージの現状の株価分析

2019年10月11日現在の株価を基に株価分析を行います。

 

【ネクステージの株価及び指標】

株価:1040円(2019/10/11終値)

PER:18.35倍

 

これまでに分析した通り、来期も売上拡大及び営業利益率の悪化がない前提で考えると現状割安であると判断しています。

 

出店ペースと原価率低減効果などを考えると来期2割の増益は狙えると思います。

参考程度ですが、成長率と適正PERの関係を確認します。


この表に当て嵌めて考えると、概ねPER26倍(株価1470円程度)くらいまでは買われても良いでしょう。

中古車業界の低成長イメージから割安放置されていると分析しています。

 

ネクステージは2025年で売上5000億円、2035年で売上1兆円を目標に掲げています。

先の話なので実現性は全く不明ですが、少なくとも今後10年以上に渡って成長を目指し続けるという経営陣の意思と理解できます。

来期だけでなく来々期についても成長継続を期待しておきましょう。(及び、そのような方向に経営の舵取りがされているかどうかを株主は厳しくチェックしなくてはいけない)

まとめ

最後に今回の記事のポイントをまとめておきます。

 

・ここ最近で売上を大きく伸ばしている理由は総合店を中心とした出店構成によるもの

・来期についても出店ペースを維持・拡大する方針であり、またそれを阻害する大きな不安要素がない

・今後の営業利益率については、販管費の増加を原価率低減で相殺しながら現状キープからやや改善程度を期待できる

・今の売上拡大ペースと営業利益率が来期も続くとしたら、現状の株価(10/11終値1040円)は割安と考えられる

 

余談:2019年に行った増資について

余談ではありますが、記事中で何度か触れた増資について解説します。

以下にネクステージが発表した資料を引用しますが、増資スキームが面白い感じになっています。


実は、増資による資金調達が2回に分かれています。

1回目(第8回号)の増資は10/11現在で既に行使完了しています。

 

問題は2回目(第9回号)の方ですが、なんと下限行使価額が1379円に設定されています。

つまり、株価が1379円を超えないと行使がされないということです。

この下限行使価格は増資が発表された当時の株価より高い値段に設定されています。

 

本記事における管理人の意見として、ネクステージの成長性を考えると株価は1470円程度まで買われても良いはずだと述べました。

会社側としても、最低でも1379円以上の市場価値があって然るべきと考えているようです。

2回目の増資完了(資金調達)のためにも、是が非でも1379円を超えることが当面の目標となるでしょう。

 

尚、仮に株価が1379円を超えられずに2回目の資金調達が出来なかった場合も手元資金や銀行借り入れによって新規出店を行うと会社は言っています。

それでも、手元のキャッシュや自己資本比率悪化に繋がりますので2回目の増資も完了するに越したことはありませんね。(希薄化が起こるとしても)

 

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