コラム

コロナショック相場の株暴落はいつ止まるのか?判断目安を解説

2020年2月の株式相場は暴落が散発して荒れています。

相場暴落の直接の原因は、コロナウイルスによる新型肺炎に対する懸念です。

 

果たしてこのコロナショック相場による株価暴落はいつまで続くのでしょうか?

 

本記事では、コロナショック相場から反転ポイントを判断するための目安について解説します。

ポイントは定性面定量面の両方を分析して判断することです。

【導入】ショック相場が発生する原因は”不透明感”

まず、〇〇ショック相場と呼ばれるような暴落相場はどのような仕組みでやってくるのでしょうか。

定性面、定量面の分析の前に簡単に解説します。

 

昨今のショック相場がやってくる要因は”不透明感(不確実性)”であることが多いです。

 

株式市場は見通せるものに対しては適切に織り込むという性質を持っています。

例えば、経済指標で悪いものが出れば基本的には株価指数は下落します。

しかし、そこに”不透明感”がなければ適切な位置まで織り込んだ段階で株価の下落が止まるため、ショック相場と呼ばれるような大惨事になることはほとんどありません。

 

一方で、見通しが付かない悪材料、すなわち”不透明感”を多分に伴う状況となれば相場は悪材料を適切に織り込むことが出来ません。

結果として、不安心理が増幅してショック相場になることがあります。(恐怖心から売りが売りを呼ぶようになる)

 

過去最高に不透明感が強かったショック相場は有名なリーマンショックでした。

本記事では細かい説明を省きますが、不良債権化したサブプライムローンを誰がどれだけ持っているか分からないような状態になりました。(おかしく聞こえますが、自分自身が持っているかどうかもよく分からない状態)

そのような”不透明感”から信用収縮が起こり、金融市場が機能不全に陥って大暴落しました。

ショック相場の原因となるのは不透明感

(参考)不透明感が高い悪材料が市場を襲う時はVIX指数が急騰する

”不透明感”が高い悪材料を伴ってショック相場が起きる時は、ほぼ確実に恐怖指数が急騰します。

恐怖指数にはいくつかの種類がありますが、基本的にはアメリカのVIX指数を見ておけば良いです。(日経VIもあるが、感度が高すぎてVIXよりやや使いにくい)

 

恐怖指数とは投資家の不安心理を表す指数と言われており、ボラティリティが高い相場で数値が上昇します。

今はVIX指数が上がると売りを出してくるリスク・パリティ型ファンドというものがあり、VIXの上昇を伴うショック相場の際に株価の下げ幅をブーストする傾向があると言われています。

【定性面】コロナショック相場の”不透明感”を考察

では、コロナショック相場の”不透明感”とは何かについて考察します。

主な不透明感は以下の2つでしょう。

 ①病気の流行がいつ収まるか分からない

 ②実体経済への影響レベルが分からない(影響が大きいことは分かるが)

①病気の流行がいつ収まるか分からない

中国、日本、韓国といった主要感染国でも患者は増え続けていますし、さらに欧州などで新規感染国も発生してきています。

コロナの流行がいつまで続くか分からないという”不透明感”が相場の重しになっています。

 

では、この不透明感が晴れるにはどのようなことが必要でしょうか。

2つご紹介しておきます。

 

(1)感染者数の拡大ペースが明確に縮小する

1つは新規感染者数の拡大ペースが明確な減少トレンドになることです。

ウイルス自体の毒性はそこまで強くないので、既に感染している患者さんは完治していきます。

G7+中国・韓国で新規感染者数減少トレンドが確認できれば”不透明感”は無くなったと判断して構いません。

 

(2)有効な治療法が確立される

不透明感が払しょくされるもう1つの期待は、インフルエンザのように有効な処方薬が登場することです。

しかし、これには注意があります。

 

それは、数か月単位での新薬開発はまず無理だということです。(ワクチンも不可能)

管理人は大学院で研究をやっていたので少し分かりますが、新薬開発には膨大な時間と予算が掛かります。

仮に、新型肺炎に効く物質が特定されたとしても、副作用の評価を入念にしなくてはいけません。

凄く致死率の高い病気であればイチかバチか的な発想で早期特別認可される可能性もありますが、現状の致死率であれば副作用があるか分からない新薬を使う方が余程リスクが高いと言えます。

自分がお医者さんだったら、副作用の評価が十分に済んでいない新薬を患者さんに投与しますかね?(訴訟リスクの方が高そう)

 

新薬は当分無理なので、可能性があるとしたら既存薬がコロナにたまたま効くことです。

インフルエンザやHIVの既存薬がコロナに効く可能性が言われていて、臨床試験が行われています。

既存薬であれば副作用の評価等も済んでいるので、投与のリスクがそこまで高くありません。

既存薬で効くものがあることを期待したいです。

・不透明感の1つはコロナの感染拡大がいつ収束するか分からないこと

・不透明感が晴れるポイントは感染者数拡大の減少トレンドの明確化か治療方法確立のどちらか

・新規治療薬やワクチンに期待してはいけない。可能性があるのは既存薬がたまたまコロナに効くことのみ

②実体経済への影響レベルが分からない

もう1つの不透明感は実体経済への影響がよく分からない点です。

まだ各国の2月経済指標が出揃っておらず、どのくらいの悪影響が実体経済に及んでいるか把握できません。

 

この不透明感は経済指標が発表されていく中で解消していくと思います。

今回のコロナ相場で特に注視しておきたい経済指標を挙げておきます。

・ISM製造業景況指数
・ISM非製造業景況指数
・雇用統計
・耐久財受注
・貿易収支
・1-3月期GDP

発表が近いものは、アメリカのISM製造業景況指数(2月分)になります。(3/2(月)に発表予定)

今回のISMは非常に重要だと思います。

これの数字が悪いと、コロナ感染者がほとんど出ていないアメリカにも経済的影響が大きく及んでいることになります。

実体経済への不透明感は2月度のマクロ経済指標が発表されていく中で自然に払拭されていく(悪い数字が出た直後は瞬間的に下落する可能性あり)

定性面の問題は完全解決する前に買いを入れる必要がある

定性面の評価では注意点があります。

それは、問題が解決する前に買いを入れる必要がある点です。

 

WHOによるコロナ収束宣言が出てから買いを入れる ⇒ 遅い

経済指標が回復してから買いを入れる ⇒ 遅い

 

あくまでも”不透明感”がある程度晴れた時点で買いを入れる必要があります。

患者数の拡大抑制に目途が付いた時点や悪い経済指標が出て落ち着いた後など。

患者数や経済指標の数字そのものには怖がらず、”不透明感”が晴れたかどうかだけに感性を集中させてください。

定性面の問題の「解決」ではなく、あくまでも「不透明感が晴れたか」だけに注目すること

【定量面】主に信用評価損益率から需給を見極める

まず、最初に申し上げておきたいことは暴落相場とは特別な状況だということです。

一番やってはいけないことは、割安だから安易に買うという行為です。

暴落相場ではファンダメンタルズが割安になる銘柄が続出するのが当たり前なので、それだけで早く買い過ぎると大きな損失を被ってしまうことがよくあるのです。

 

暴落相場というファンダメンタルズがあまり使えない場面で役に立つのがテクニカル指標です。

特に、コロナショック相場の様な暴落局面では需給を示すテクニカル指標に頼ることをお薦めします。

暴落時の需給見極めに有効なのは信用評価損益率

管理人が暴落時の需給を見極めるために使っているテクニカル指標は信用評価損益率(買い方)です。

これは、信用取引を行っている投資家(買い方)の損益率を示したものです。

一般的に信用評価損益率は-20%を超えると底値圏と言われています。(マザーズは-25%くらい)

 

信用評価損益率が大きくマイナスになっている状態は、多くの個人投資家が多量の含み損を抱えている状況です。

個人投資家は含み損に耐える性質があるのですが、信用評価損益率が-20%(マザーズでは-25%)程度から追証売りが出始めます。

売りたくなくても売らざるを得ない人達が売り切った時点で新しい売りは出にくくなります。(需給の改善)

 

その時点で株価はファンダ的に割安なので、追証売りに掛かっていない人達の買いは継続的に入って来て、どこかのタイミングで需給バランスが買い方有利に反転します。

追証売りになった人たちも退場者以外は結局後で買いを入れることになります。(リバウンド上昇をブースト)

このような需給の反転が起きやすいタイミングが経験則的に信用評価損益率-20%(マザーズでは-25%)程度と言われているのです。

 

尚、需給の底を見極める指標として騰落レシオを使う投資家もいます。

管理人としては、暴落時の底当てにはより需給を直接的に表す信用評価損益率の方をお薦めします。

(過熱相場の天井を当てたい時には騰落レシオの方がやや精度が高いかもしれない)

・暴落時にはファンダメンタルズの割安を理由に早まった買いを入れてはいけない

・底判断の目安には信用評価損益率を見ることが有効

信用評価損益率を毎日見るためには松井証券の口座が必須

信用評価損益率は東証から発表されていますが、週に1回しか発表されないので使い物になりません。

それが、松井証券の口座を持っていればマザーズを含めて毎日値を確認することができます。(ただし、松井証券の顧客の信用評価損益率になります)

通常の相場時に確認する必要はありませんが、暴落時には毎日確認する必要があります。

 

取引手数料が約定代金50万円まで無料だということもあり、メイン口座として、あるいは信用評価損益率確認用としてでも口座を持っておいた方が良いでしょう。

写真付きの身分証明書とマイナンバーカードがあればネット申し込みにて数営業日で口座開設可能です。

※信用評価損益率を見るには信用口座も開設する必要があるので、(信用取引を使わなくても)必ず信用口座を作るように申し込んで下さい

定性面評価と定量面評価の使い方のバランス

今回の記事では定性面と定量面の2面からショック相場の底を探る方法を解説しました。

この2つですがバランスについても書いておきます。

 

重要性は「定性面」>「定量面」です。

定量面は単なる需給の話なので、ショック相場を引き起こした根本原因を分析する定性面の評価がより重要です。

以下のように組み合わせて使います。

・定性面の問題が解決される(=不透明感の払しょく)

⇒基本的に”買いたい分だけ全て”買って良し(アクセル全開)

 

・定量面が需給的に底を示す(=信用評価損益率が底値圏)

⇒徐々に買いを入れ始めても良い(恐る恐るアクセルを踏んでいく)

ただし、すぐにショック相場の定性面(不透明感)が解決することはあまりありません。

定量面のテクニカル指標が底を示した時点で徐々に買い始めても構いません。

少しずつ買いながら定性面の不透明感が晴れたと思ったらアクセル全開にしましょう!

 

今回のコロナショック相場では定量面のテクニカル指標だけを頼りに大きく買いを入れ過ぎた投資家は大きな損失を被っているはずです。

大切なので繰り返しますが、テクニカル指標の底値圏を理由に買う場合は少しずつわけて買いを入れてください。

 

尚、信用評価損益率(松井証券)について管理人はマザーズのものを特によく見ています。

買いを入れ始める目安はショックの大きさによって以下のように考えています。

 ・通常の下落相場(ショックというより押し目的な下落) ⇒ -20%を超えた時点

 ・ショック相場 ⇒ -25%を超えた時点

 ・酷いショック相場(あるいは、ショック相場でも安全を見る場合) ⇒ -30%を超えた時点

・重要なのは定量面より定性面(不透明感の払拭)

・定量面を理由に買いを入れる場合は、徐々に買っていく方が無難


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