6030 アドベンチャー

アドベンチャーの2019年6月期4Q決算を分析

アドベンチャーの決算を分析してみました。

見た目の数字と企業の実力に乖離がある内容になっているので、分析には注意です。

期待されていた4Qでまさかの赤字転落となり株価暴落

4Q決算発表後にアドベンチャーはストップ安となってしまいましたが、原因は4Qの赤字と思われます。

上の図を見ると、3Qまでは売上も伸びていて利益面でも絶好調でした。

4Qも3Qと同等か、それ以上の数字が期待されていたものと思います。

 

しかし蓋を開けてみると4Qはまさかの赤字となり、さらに急に赤字転落した理由が全く決算資料に書いていません。

これでは次期は4Qの赤字×4みたいな業績になるのではないかという最悪の連想が働きます。

急な赤字でY板のホルダーはパニックになっていました。

 

数字を分解してみると見える景色がガラリと変わる

アドベンチャーには一般消費者向けの本業(CS部門)と有望な会社に投資を行なう投資部門があります。

 

CS部門 ・・・ スカイチケット(航空券予約サイト)を中心とした旅行関連のプラットフォームビジネス

投資部門 ・・・ 上場会社や非上場の会社に出資して利益を得る事業

 

アドベンチャーの本業はあくまでもCS部門であり、そちらに資金や人員といったリソースはほとんど充当されています。

CS部門の成長期待で株価が形成されるべき銘柄だと言えるでしょう。

 

前の節で会社全体の四半期業績推移を見ましたが、これを2つの部門にわけて示します。

これを見ると、実は4Qの赤字は投資部門のみが原因であり、本業のCS部門は至って好調だと言えます。

 

CS部門の伸びが止まっていないのは前年比較をするとより分かりやすくなります。

上半分のグラフは連結業績(売上収益)の四半期推移になります。

前年に子会社のM&Aがあったので、子会社を含まない単体決算も確認します。(下半分のグラフ)

連結で見ても単体で見ても、業績の伸長は今のところ止まっていないと言えるでしょう。

 

まとめると、4Qの赤字は本業のCS部門でなく投資部門になりますので、ストップ安まで売られるのはやり過ぎというのが感想です。

 

とはいえ、投資部門の今後はどうなるのか?

アドベンチャーの場合はCS部門の利益をほとんど広告に使うという方針です。(成長期のため)

経営戦略上でCS部門の利益が少なくなりますので、相対的にサブ部門である投資部門の損益に四半期業績が大きく振られる体質になっています。

 

有価証券報告書をみると、アドベンチャーは上場株式等と非上場の投資先があります。

上場株式については、四半期ごとの期初と期末の市場株価をベースに評価の見直しが行われるとのこと。

 

その上場株式の方が3Qの有価証券報告書によると11億円くらいの保有があります。

これはおそらく大半が旅工房の株券であると想定されます。(旅工房のアドベンチャー持ち分が10%で、当時の時価総額が100億円ちょっとだったため)

 

その旅工房の株価が4Q期間中(4月~6月末)にかけて約40%も下落してしまったのです。

アドベンチャーの持ち分を考えると単純計算で約4億円のマイナス収益になります。

大体、投資部門の4Q赤字額と一致しますね。

 

これを考えると、1Q(7月~9月末)の旅工房の株価を見ておけば投資部門の損益は大体想像できます。

※非上場の株式評価見直しも多少は影響するので完全な計算は出来ないが

 

今日(8/14)に旅工房の株価は10%以上の暴落をしていますが、期初の株価と比べるとあまり下がっていません。

旅工房が今の株価くらいをキープするのであれば、1Qに投資部門で大きな赤字が出る可能性は低いでしょう。

※繰り返しますが、非上場の投資先もあるのでそちらで減損が出る可能性もゼロではないけれど

IRのレベルの差を痛感する決算シーズンとなった

オジサンの記事を見てもらえると分かりますが、アドベンチャーの4Q決算はそこまで悲観するものではありません。

しかしながら、決算資料の内容が薄っぺらでセグメントごとの分解数字すら載っていない。

赤字になった理由も分からずに、変な疑心暗鬼が市場を支配してしまいました。

 

前の記事にも書きましたが、同じような減速決算でもプレサンスの株価は下がりませんでした。

あちらはIRの資料がしっかりしていて、問題がない減収減益だということが分かるようになっています。

 

プレサンスとアルヒのIRは優秀、アドベンチャーはちょっとガッカリ。

そんなことを痛感する決算シーズンとなりました。

 

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